法政大学の自己推薦入試などについて ―帰国生大学入試についてvol. 282―

(2021年1月8日 19:05)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、立教大学で実施されている自由選抜入試(他の大学のAO入試に当たるものです)について、異文化コミュニケーション学部を中心にその特徴を紹介しました。海外の高校を卒業した人がこの入試を受験するには、例年8月の終わりから9月の初めに締め切り日が設定されている出願資格審査を受けなければならないこと、そして多くの学部では高校の成績を基に出願資格が得られるかが決まることに注意しましょう。

さて、今回の記事では、法政大学が実施している特別入試のうち、海外の高校を卒業しSOLの教室で受験に向けた準備をしている人が受験している2つの学部のものを取り上げます(日本の高校を卒業し、大学が指定する高校の成績に関する基準などを満たしている場合には、以下で紹介するものの他にグローバル体験公募推薦入試や自己推薦入試で受験できる学部が多くあります)。

〇GIS(グローバル教養学部)自己推薦12月入試
この学部はリベラル・アーツ的なカリキュラムを採用し、全ての授業を英語で行うことが特徴で、年々受験生の間での人気が高まっているという話をよく聞きます。10年近く前に開設された当時は、教師:学生の比率が私立大学とは思えないもので(記憶は定かではないのですが、ここに入学したOBが40人の学生に対し教師が10人以上いると言っていたように思います)、教師に質問のメールを送ると数分で返事が返って来るといった理由で、学生からの評判も良かったようです。それから毎年受け入れる学生の数が急増し、このような魅力が失われたのは残念ですし、授業の選択がすべて本人任せになっていることなど問題点はあるようですが、早稲田大学の国際教養学部などで見られるカリキュラムのあり方がよいと感じる人にとってはよい学部だと思います。

この入試を海外の高校を卒業した人が受験する場合、高校が採用する教育制度で大学入学資格を取得するための統一試験の結果を提出することが望ましいです。また、TOEFL iBTで90(そのうち、Writingが23)、IELTSで6.5(そのうち、Writingが6.0)といった大学が指定する英語運用能力試験に関する水準を超えることができれば、2次審査が英語面接のみとなり、合格可能性が上がりますので、受験を考えている人はそれを目標に準備を進めていきましょう(日本の高校を卒業する場合でも、SATやACTのスコアを提出し、上で述べたTOEFL iBTやIELTSなどの成績に関する条件を満たすことができれば、同じ形で受験することが可能ですが、そうでない場合には、英語運用能力試験の成績がもう少し低くても出願資格が得られるものの、英語だけでなく日本語で志望理由書を書くことが求められますし、英語エッセイが筆記試験として課されることになります)。

また、1次審査では志望理由を説明した英語や日本語の書類の内容が合否に大きな影響を与えます。GISのようにリベラル・アーツ的なカリキュラムを採用している大学や学部に出願する際に、「大学でやりたいことが決まっていないのでそのようなカリキュラムの中で学びたい」という方向性で志望理由書を作ろうとする人が少なくありませんが、これだと大学生活の4年間をどのように過ごすかという個人にとって重要な問題に関して考える姿勢がないように見えてしまいます。このようなことを考えると、「複数の観点から一つの社会的な問題についての考察を深めたい」という内容になっているのが望ましいはずですので、受験を考えている人はこの条件を満たすようなテーマを見つけられるように本などを読んでおくのがよいと思います。

〇経済学部の英語外部試験利用自己推薦入試
この学部は3つの学科で構成されていますが、いずれの学科でも1年生では経済学の基礎的な事項を学ぶゼミ形式の授業がカリキュラムの中心とされている上に、学年に上がるに従って徐々に学習の対象を広げていくという形になっているので、経済学の素養をしっかりと身に付け、それを自分の関心のある問題の考察を深めるのに活用していきたいと考えている人にはよい学習環境だと思います。

この入試では、TOEFL iBTやIELTSなどの英語運用能力試験に関して大学が指定する成績に関する水準を超えることで出願資格を得られますが、合否の判定についてもこの成績が重視されているような印象があります。ただし、今年度から実施された日本の大学入試改革に合わせて、日本の学校にしか通っていない人で英語運用能力試験の対策に本格的な形で取り組むというケースが増えるでしょうし、出願資格を認める条件を見る限り、この学部もそれを意識しているように思われます。それを踏まえると、今後は日本語小論文の対策にもしっかりと時間をかけるべきということになるはずです。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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