首都圏にある国立大学の帰国生を対象とした入試について ―帰国生大学入試についてvol. 289―

(2021年3月5日 19:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、東京大学の外国学校卒業学生特別選考(2種)の特徴をお知らせしました。この入試では、提出が求められている大学入学資格を取得するための統一試験や英語運用能力試験の成績が高い水準であることに加えて、海外の教育機関で学んでいる期間に他の人がしていないような活動をする中で学んだことがあるということを志望理由書でアピールする必要があります。また、小論文試験や外国語試験についても他の大学の入試では見られない形式の問題が出題されますので、受験を考えている人はそれに合わせた対策をするようにしましょう。

さて、例年、1月の終わりから2月にかけての時期に、首都圏の各県で学問研究の中心となっている国立大学でも帰国生を対象とした入試が実施されるところがあります。今回は、その中から宇都宮大学国際学部の帰国生選抜と埼玉大学教養学部の帰国子女選抜を取り上げます。

〇宇都宮大学国際学部の帰国生選抜
宇都宮大学国際学部では、世界の様々な地域の言語や文化、多文化社会が抱える様々な問題について学ぶことができますが、少人数制の授業が多いカリキュラムを採用しているという国立大学らしい特徴も見られ、教員と学生の間での活発な交流があるようです。SOLのOBでこの大学に通う人からは、国際社会で見られる問題に関する映画を見た後に参加者全員がオンラインでディスカッションを行うという教授と一緒に立ち上げたプロジェクトなど、学生が教員とともに主体的に活動するプログラムが多くあるという話を聞きます。

この入試の合否判定は、TOEFL iBTやIELTS、TOEICといった英語運用能力試験のスコア(以前はこれを提出しなくてよかったため、例えば中国や台湾の現地校を卒業した人でも受験しやすい入試だったのですが、時流には逆らえないようです)、小論文試験や面接試験の出来に基づいて行われます。このうち、英語運用能力試験のスコアについては、多くの人が受験終了となっている時期に実施されますし、スコアを出すことが可能なテストの中に日本の高校生も受験するTEAPが含まれていることを考えると、それほど高い水準のものでなくても問題はないかと思われます。

一方で、小論文試験では、国際問題だけではなく広く現代社会で問題とされている様々なテーマに関する文章が出題されます(2年前は日本国憲法の改正を難しくしている要因が主題のものでした)。そのため、受験を考えている人は、例えば桐原書店の『小論文頻出テーマ ジャンル別キーワード92』のようなテキストを使って、今、日本社会ではどのような状況が問題視されているか、そしてその内容はどのようなものであるかということを確認しておいた方がいいと思います。

〇埼玉大学教養学部の帰国子女選抜
埼玉大学教養学部は、他の大学の国際政治経済学部と文学部を合わせたようなもので、1年次に学問研究の基礎的なスキルを身に付けるための授業を受けた後に、学生の個人的な関心に合わせて4つの専修課程(他大学の学科に当たります)のうちから一つを選択することができます。上で紹介した宇都宮大学国際学部と同様に、少人数制の授業の多いカリキュラムになっているので、学生が教員から様々な刺激を得られる上に学生同士の交流も盛んであるという話をSOLのOBから聞いています。

この入試では面接試験だけが合否の判定を決めるものになっています。そのため、大学や学部が発行しているパンフレットの内容を基に、自分がここで何を学びたいのか、そのように考えるのはなぜかといった点について考察を深めることが重要ですし、海外での体験の中で自分が何を学んだのかということも時間をかけて整理するのが望ましいと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

トップへ戻る