上智大学の書類審査を中心とした入試について ―帰国生大学入試についてvol. 339―

(2022年10月7日 20:45)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、高校や外国語運用能力試験の成績に関する一定の水準を満たしている日本の高校を卒業予定の人に出願資格を与える上智大学の公募推薦入試の概要を紹介しました。この入試の合否の判断は海外就学経験者(帰国生)入試で見られる筆記試験の出来や外国語運用能力試験の成績だけでなく、出願手続き時に提出が求められているレポートの内容を踏まえて行われます。与えられるトピックは学科が専門領域としている学問に強い関連性を持つものなので、自分の知的な関心のあり方に合わせて受験するところを選んだ方がいいでしょう。

さて、上智大学では、国際教養学部が「国際教養学部書類選考」、その他の学部・学科が「国際バカロレア(IB)入学試験」という形で、学部・学科が指定する海外の教育制度で大学入学資格を取得するための試験の成績を提出できる人を対象とした書類選考が中心となる入試(IB入試では一部の学科で面接試験を行っています)を実施しています。後者はその名称から分かるようにIB Diplomaを取得しており、各学科が指定する科目を履修していたり、一定以上の成績を修めていたりする人にのみ出願資格を与えていますが、国際教養学部にはIB Diplomaだけでなく、アメリカのSAT(Reading&Writing、Math)やACT with Writing、イギリスのGCE A-Level(3科目)の成績を提出できる人も受験できます。

これらの入試の合否の判断は出願手続き時に提出する書類の内容を主に使って行われます。そのような場合にインターネット上などでよく話題になるのが、学部・学科が指定する大学入学資格を取得するための統一試験の成績やTOEFL iBTやIELTSといった外国語運用能力試験の成績だと思います。これらが大きな役割を果たしており、例えば国際教養学部ではSATのスコアが1200以上ないと合格可能性が低下するのは事実です(IB入試では慶應義塾大学の帰国生入試ほど高い成績は求められません)。ただし、特に合格に最低限必要なラインに近い成績の人の間では、学部・学科への志望理由を述べるエッセイの出来によって、高いスコアの人が不合格なのに低いスコアの人が合格するということが起こります。このようなことを考えると、これらの書類の作成にもできるだけ多くの時間を費やした方がいいと思われます。

なお、国際教養学部では理想的な学生像の一つのあり方として「自発的に様々な活動に取り組み、その体験から多くのことを学ぼうとする人」というものがあるようで、志望理由書で自分が大学で学びたいと考えていることがこの学部が提供するものに合っていることを説明できたとしても、そこに活動の実績などが入っていない場合には不合格になることがあります。ここ2年は新型コロナウィルスの感染が世界規模で広がったことで社会活動への参加が難しい時期が続きましたが、今年度出願する人はオンラインで行ったものでいいのでそれを文章に入れるのが望ましいですし、来年度以降に受験を考えている人は積極的にボランティア活動などを行うようにしましょう。

国際教養学部の4月入学者を対象とした書類選考には8月中旬から9月中旬、11月中旬から12月中旬(今年度はそれぞれ、Web登録期間が8月24日~9月14日、11月16日~12月9日、郵送物の提出期限が9月21日、12月14日です)の2回受験する機会があり、その他の学科のIB入試は第1期募集で受験する人が多いと思いますが、その出願手続き期間が7月中旬から8月初めになっています(今年度はWeb登録期間が7月15日~8月4日、郵送物の提出期限が8月5日でした)。どちらも提出する書類が多くありますので、スケジュールをしっかり確認した方がいいと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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