学習院大学の帰国生を対象とした入試について ―帰国生大学入試についてvol. 340―

(2022年10月14日 20:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、上智大学の国際教養学部の書類選考やその他の学科が実施している国際バカロレア(IB)入試の概要を紹介しました。どちらも出願手続き期間に提出した書類の内容を中心に合否の判定が行われますが、大学が指定する海外の教育機関で大学入学資格を取得するための統一試験の成績や外国語運用能力試験の成績だけでなく、志望理由を述べるエッセイの内容などが重要な役割を果たします。特に、国際教養学部が好むエッセイのタイプは明確ですので、受験を考えている人はその点を意識した形で日々の生活を送るべきです。

さて、首都圏には社会的な評価が高い大学が多くありますが、その中でも大手の経済誌などで「費用対効果が最も高い大学」として取り上げられるのが学習院大学です。この大学は他の大学と比べると規模が小さな大学になりますし、以前から基幹的な国立大学に在籍した経験がある、もしくはこれからそのような大学の教員になることが期待される研究者を多く抱えており、そのような教員との距離が近いことも多いため、我々としてもお勧めの大学の一つにしています。特に、文学部はOBOGが就職活動に関するセミナーを開くなど、大学卒業後の生活に関するケアまで手厚いという話を聞いています。

学習院大学の文系学部では、文学部(英語英米文学科や心理学科、哲学科など7つの学科があります)や法学部(法学科、政治学科)、経済学部(経済学科、経営学科)といった3つの学部が帰国生を対象とした入試を実施しています。大学のホームページを見ると、「外国高等学校出身者対象入学」と「海外帰国生徒対象入学」という2種類の入試があるように見えるかもしれませんが、卒業した高校が日本の教育制度の中で運営されていたのかについて違いがあるだけで、試験がどのような形で実施されるか、何が合格に必要かといった点は共通しています。

3つの学部のうち、法学部と経済学部では筆記試験の出来と外国語運用能力試験の成績(法学部では外国語運用能力を示すものなら何でもよく、経済学部ではTOEFL iBTに限定されています)を合わせて合否が判断されます。法学部では小論文試験、経済学部では英文和訳試験で十分な成績を修めていれば、例えば法学部法学科ではIELTS5.5、経済学部ではTOEFL iBT(このテストのスコアだけが提出を認められています)60台中盤という水準を超えれば合格が期待できます。なお、法学部法学科ではこれまでの判例を基にした問題が出題されることがあるので、渡辺洋三の『法とは何か』(岩波新書)のような入門書を読んだ方がいいでしょう。

また、文学部では学科に関係なく、英語、国語、小論文といった筆記試験の出来が重要になります。国語試験は一般入試の現代文の基礎的な問題を解くことが対策になりますし、英語試験では英文和訳やエッセイライティングを始めとして様々な形で運用能力が試されますが、過去問に出てきたものが再度出題されることが少なくないので、できるだけ多くのものにふれ、自分に不足しているものを補うようにしましょう。さらに、英語英米文学科のように面接試験で強い学習意欲が示すことが必要になるところもありますので、そのような傾向に沿ったように練習ができるといいと思います。

これらの入試の出願手続き期間はこのところ8月中旬に設定されるようになりました(今年度は8月18日~8月20日でした)。以前は、大学に直接持っていかなければならなかったので、足りないものがあればすぐに対応できていたのですが、今は郵送することになったため必要なものが全て揃っているかを事前に確認すべきだと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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