青山学院大学の海外就学経験者入学者選抜について ―帰国生大学入試についてvol. 346―

(2022年11月18日 19:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、明治大学の文学部や国際日本学部で実施されている自己推薦特別入試で海外の教育制度を採用する高校を卒業した人が合格するのに必要なものを紹介しました。この入試で日本の高校に通う人が出願資格を得るためには高校の成績に関する条件を満たさなければならないことを考えると、書類審査を通過するにはそれと同等の評価を受けるものを揃える必要があると思われます。

さて、首都圏の有名私立大学の中でも例年受験生が多く集まるところの一つとして青山学院大学が挙げられると思いますが、ここの文学部日本文学科や法学部ヒューマンライツ学科、国際政治経済学部の全ての学科(国際政治学科、国際経済学科、国際コミュニケーション学科)が海外の高校に在籍した経験のある人を対象とした特別入試を「海外就学経験者入学者選抜」という名称で実施しています。この入試は「保護者の仕事の都合で日本において教育を受ける機会を逃した人に対する救済措置」という帰国生入試が元々設置された趣旨に合う形で現在でも行われており、出願資格を得るための条件の一つである「海外の教育機関に在籍した期間」がそこに渡航することになった理由によって異なったものになっていることに注意が必要です。

合否がどのように判断されるかについては学部によって異なります。文学部日本文学科を受験する場合には出願手続き期間で外国語運用能力試験の成績の提出が求められていないため、現代文や古文の問題で構成される筆記試験の対策をしておくことが重要になります。一方で、法学部ヒューマンライツ学科や国際政治経済学部の各学科では指定された外国語運用能力試験で一定以上の成績を修めていないと出願資格が得られませんし、他の大学に比べるとこの高低が合否の判定において大きな役割を果たしています(国際政治経済学部の第1次審査は外国語運用能力試験の成績に基づいて行われますし、法学部ヒューマンライツ学科では小論文試験で与えられたトピックと異なることを論じたとしても挽回することが可能になります)ので、スコアなどをできるだけ伸ばしておくべきです。

また、これらの学科は英語運用能力試験だけでなく、それと中国語や韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語の試験のものを合わせて提出できますので、英語以外の主な使用言語とする教育機関に在籍した経験のある人にも門戸が開かれていると言えると思いますが、その成績も高い方がいいでしょう(実際に、昨年この教室から韓国語能力検定に関する条件に従って出願した人が合格しています)。

法学部ヒューマンライツ学科や国際政治経済学部の小論文試験は、現在ではほぼ全ての大学が採用している問題文で取り上げられているトピックに関する自分の考えを述べるというものではなく、例えば「あなたが最も重要だと考える国際問題は何ですか」という形式になっています。問題の条件に当てはまる事例などを一から自分で説明することが求められているので、桐原書店の『小論文頻出テーマジャンル別キーワード91』のような教材を使って、関係のありそうなトピックに関する理解を幅広く深めるようにした方がいいでしょう。

この入試の出願手続き期間は8月下旬から9月初めの時期に設定されています(今年度は8月21日~9月4日でした)。提出する書類に変わったものはそれほどありませんが、保護者の海外赴任などで海外に行った場合には保護者が勤める企業に「海外在留書」というものを作成してもらわなければならないことと、大学での学習計画や将来の目標について説明する書類があることに注意した方がいいと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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