帰国生入試の受験準備を行うのに最適な環境とは?vol.16 ―帰国生大学入試についてvol.85―

(2012年5月18日 16:45)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、少なくとも現代の日本では大学受験生に小論文の指導を行える教師を多く確保することが難しいため、「人数の多い環境」では生徒がよい小論文を書くのに必要なものを習得するための十分なサポートを行うことができないということを述べました。「帰国生大学入試について」のvol. 80からvol. 84では、主に「小論文の内容を深める」という一般的な学習事項に着目してきましたが、小論文試験に向けた学習において受験生が抱える問題が多様であることを考えても、受験生に対する個別的なサポートを十分に行えないことは問題だと言えます。


小論文を書き始めた段階で受験生(特に、その中でも帰国生)が直面する問題には、漢字や表現などの日本語の表記の面に関わるものから、文中で適切な具体例を挙げることができなかったり、論理的に自分の主張を展開できなかったりというものまで、幅広いものが含まれます。そして、論理的な思考をすることができるし、それを自分の滞在した国の言葉で表現することもできるが、高校卒業まで日本語にふれた時間が少ないため、日本語で文章を書くことに困難を感じる人もいれば、滞在国での生活・学習体験の蓄積が限定的であるために、そもそも小論文試験で出題されるような事柄を考えたことがないし、また小論文を書く際に自分の考えを論証する必要があるという発想もないといった人がいるといったように、受験生によってどの問題に直面しているかについても大きな違いが見られます。


このように、どのような学習事項でつまずいているのかという点で多様なパターンがあり得ることだけを考えても、帰国生入試やAO入試などの受験生には個別にサポートをする必要性があるということになりそうです。しかし、多くの人が抱える可能性がある問題でも、その状態に至った背景が人によって異なる、もしくは対応方法について柔軟に考えなければならないものがあるということを考慮に入れると、一人ひとりに合った形でサポートを行うことがより一層重要なことになると思います。


例えば、600字から800字の小論文を書く際には、与えられたトピックに関する自分の主張に合わせて、それに対する論拠と具体例を一つずつ提示するのが標準的な形になりますが、受験生の中には、自分が文中で挙げた論拠や具体例について詳しい説明をせず、それでは字数が足りないのでバラバラと複数の事柄を列挙したり、その他の話に展開したりするというケースが、特に学習の初期段階において見られます。多くの人にとってこのような問題は過渡的なものに過ぎませんが、いくら小論文を書く練習をしても、これを克服することができないという人も少なからずいます。


その背景にあるのが、自分に自信が持てなかったり、もしくは元々内向的な気質を有したりしているため、自らの考えを他の人に向けて表現することに躊躇してしまうという人格的なものであるというケースもありますし、大人は18、19歳の人より多くのことを知っており、自分の主張の説得力を支える論拠や具体例について説明しなくても理解してくれるはずという考えが強い影響を及ぼしているという場合もあります。また、これは現代社会に住む人に特有の現象かもしれませんが、一つ一つのトピックに関して十分な説明や論証が行われず、扱われるものが変化するスピードが速いテレビ番組(バラエティー番組に限らず、報道的なものでもテレビ番組は一般的にこのような性質を持っているように思います)を見過ぎたことが原因で、自分の思考スタイルがそれに同化してしまったという生徒も過去にいました。


どのケースでも問題に合った取り組みが考えられますが、それぞれの取り組みに共通したものがない場合には、一人ひとりの生徒に個別的なアプローチをせざるを得ません。それを考えると、生徒を一人ひとりが持つ問題に合わせた形でサポートするのに必要な数の教師を確保されている必要があるということになりますが、受け入れる生徒の数が多いところでもそれは難しいのが現状です。生徒の受験生活を充実したものにすることが塾や予備校の本来的な使命であるならば、在籍する教師の数に合わせて受け入れ人数も考えるべきだと思います。


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