上智大学文学部英文学科の英語試験について(2013年度) ―英語学習の勧めvol.136―

(2013年7月22日 19:10)

こんにちは、SOLの余語です。
前回は、帰国生入試やAO入試における英語試験のうち、特色のあるものの一つとして立教大学帰国生入試のものを取り上げました。この試験は全て記号で答えるもので、同じ日に実施される自由選抜入試のものと同一であるために、問題自体は基礎的な事項を問う形になっていますが、首都圏の難関私立大学で日程的に最後に実施されることから、そこで求められる正答率は非常に高いものになります。受験を考えている人は、定期的に試験と同じような形式で問題演習に臨むという機会を取り入れながら準備を進めてもらえればと思います。


さて、帰国生入試やAO入試の小論文試験には各学部・学科で取り扱われている学問に関連した問題が出題される大学があることは、「帰国生大学入試について」で以前から度々述べていますが、英語試験においてもこのような傾向が見られるものがあります。その一つが、上智大学文学部英文学科の帰国生入試の筆記試験で、この学科は同大学の外国語学部英語学科と比較すると競争は緩やかであるものの(特に、英語・日本語の運用能力が高い人にとっては厳しいものではないでしょう)、筆記試験の問題は帰国生入試やAO入試で出題されるものの中で最も難度が高いものの一つと言うことができます。


これは、ここで出題される文章が文学研究に関わるものや文学作品の引用であるためです。この試験の問題は英文和訳問題と和文英訳問題の2つで構成されていますが、前者は文学作品の評論技法などに関する文章が出題されることが多く、専門用語も少なからず含まれていますので、日本語でそのような文献を読んで、文学研究の世界ではどのような問題意識が持たれ、またどのような単語や表現が使われることが多いのかという点に関する理解を深めておかなければ、英文を正確に翻訳することが難しくなるでしょうし、そもそも文章を読解すること自体に困難を感じるということになってしまいます。


また、和文英訳問題では、日本の文学作品(それも最近の作品や大衆向けの小説ではなく、近代文学史の中で古典的な作品とされるもの)が取り上げられることが多く、日本語の文章をどのように解釈するのかといった点から言語運用能力を試されるものになっています。このため、日本語・英語の区別なく文学作品を日頃から読んでおくことが必要になりますし、英語から日本語に翻訳されたもの、もしくは日本語から英語に翻訳されたものを原書とともに読み込むということに対策学習として取り組むようにすることが望ましいと思います(この点では、授業の中で文学作品にふれる機会が必ずあるIB Diplomaコースで学んだ人が有利だと言えるかもしれません)。


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