早稲田大学国際教養学部のAO入試について ―帰国生大学入試についてvol. 279―

(2020年12月11日 18:25)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、最近受験生の間で人気が高まっていると言われる早稲田大学社会科学部のグローバル入試の特徴を紹介しました。この入試が始まってまだ3年しか経っていませんし、今年から書類審査と筆記試験の2段階で合否が判定されるようになりましたので、合格に必要なものが今後も変化していく可能性がありますが、大学が指定する英語運用能力試験の成績が高ければ合格可能性が高まることは間違いありません。受験を考えている人はまずはTOEFL iBTで95、IELTSで7.0というラインを越えられるように準備を進めていきましょう。

さて、今回は早稲田大学国際教養学部で実施されるAO入試の特徴をお知らせしたいと思います。この学部は英語で全ての授業が行われる上に1年間の留学期間があることや、リベラルアーツ的なカリキュラムを採用していることからこの大学でも最も人気のある学部の一つです。いくつかのクラスターの中にまとめられている授業が体系的に一つの学問に対する理解を深めていく形で配置がなされていない、どのような方向性で授業を履修していくべきかが基本的に学生個人の裁量に委ねられてしまっているといった問題点を指摘する人がSOLのOBOGの中にはいますが、大学で学びたいことが入学前に決まっていて海外の大学での生活を一定の期間を送ってみたいという人にはいい学習環境かもしれません。

この学部のAO入試は、受験生が卒業した高校が採用している教育制度によって2種類あり、国外選考は(日本にあるものを含めて)外国の教育制度を採用している高校を卒業している場合に、国内選考は日本の高校を卒業した場合に出願することができます。

〇AO入試の国外選考
この選考は、基本的に書類審査で合否が判定され、それだけでは判断ができないとされた場合にはオンラインでの面接試験を受験することになります。出願手続きでは大学入学資格を取得するための統一試験や高校での成績を提出することになりますが(英語圏の教育制度で学んでいない場合には英語運用能力試験の成績も必要になります)、同じような形態の入試を実施している上智大学の国際教養学部などに比べると高校での成績が重視されることに注意が必要です。

また、出願手続きの期間から1年前以内に起きた世界に大きな影響を与える出来事に関する自分なりの考察をエッセイにしたものの提出も求められていますが、この出来も合否に強い関連性がありますので(その他の書類の内容はよかったのにエッセイの作成に十分な時間をかけなかったことが理由で不合格になったケースがあると聞いています)、受験を検討している人は高校での学習や統一試験対策だけでなく、しっかりとした内容が伴ったエッセイを書くことに注力した方がいいと思います(ここで書いたことは全て9月入学者のための入試にも当てはまります。エッセイ作成のサポートを希望される方はこの記事の最後にあるフォームなどからご連絡ください)。

〇AO入試の国内選考
こちらの選考でも書類審査が実施され、その際に対象となる大学が指定する英語運用能力試験や高校の成績が高いことが望ましいのですが、それに加えて英語での読解論述という形式で行われる筆記試験の出来がよいものであることが合格するのに必要となります。この筆記試験では、ある学問の基礎的な内容を扱ったもの、もしくは英語圏の大人が読むような雑誌に掲載されたものが3つ出題され、1つ1つの文章がA4の用紙で1枚半から2枚という長さになっています。それらの文章を読んだ上で、内容に関する選択問題(今年度は前置詞の用法など文法事項に対する理解度を測るものも出題されました)だけでなく(多い語数のものとは言えないものではあるものの)エッセイを書かなければならないという出題形式になっており、TOEFL iBTやIELTSで高いスコアを取得している人でも不合格になることが珍しくありません。受験を視野に入れている人は筆記試験対策をしっかりと行うべきだと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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